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「がんをよく知るための講座・がんゲノム医療の現状」を開催いたしました

7月30日(火)14時から健康ライフプラザで、「がんをよく知るための講座」を開催いたしました。
今回は、「がんゲノム医療の現状」と題し、神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科部長 安井久晃先生にご講演いただきました。
ゲノムとは、遺伝子と染色体から合成された言葉で、DNAのすべての遺伝情報のことです。推定されるヒトの全遺伝子数は約2万3千個で、そのうち、がんに関連する重要な遺伝子は20~400個程度です。
本年6月より、一部のがんゲノム(遺伝子パネル)検査が保険適用となり、がん発症に関連した数百種類の遺伝子を網羅的に調べ、患者さんの治療や診断に役立てることができるようになりました。ただし、全ての方が保険適応の対象となるわけではなく、対象となる方は、①標準治療実施後に進行が確認され次の治療を探索している固形がんの方、原発不明がんの方、標準的な治療が確立されていない希少がんの方、②全身状態及び臓器機能などからがんゲノム(遺伝子パネル)検査後に化学療法の適応になる可能性が高いと主治医が判断した方です。
がんは遺伝子の異常の蓄積で起こりますが、がんの発症において重要な遺伝子異常がある場合、その遺伝子をターゲットとした「分子標的薬」を使用すれば、劇的な治療効果が期待できます。
しかし、一方で遺伝子検査をしても検体のDNA不足や品質不良などで100%検査できるとは限りません。検査をしても必ず異常が見つかるわけではなく、異常が見つかってもその意義が不明なものも多く、すべての遺伝子変異に対して治療薬があるわけではありません。治療の候補となる薬剤はほとんどが分子標的薬ですが、副作用が少ないわけでもありません。検査は保険適用であっても、治療薬が保険適応外であるなど、まだまだ課題があります。
がんゲノム(遺伝子パネル)検査の解析結果に基づいて治療薬を選択する「がんゲノム医療」は究極の個別化医療であり、がん治療の大きな流れとなりつつあります。ただし、がんゲノム検査には限界もあるため、メリット・デメリット、注意点(遺伝性腫瘍が見つかる可能性)をよく理解した上で検査を行うことが重要です。がんゲノム検査が保険適用となったことで、「がんゲノム医療」はより身近なものになるでしょうが、医療者まかせにせず、がんについて学び、納得して治療を選択しましょう。
講演後は、会場からの質問に丁寧にお答えをいただきました。

 

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