兵庫県予防医学協会会長「深谷 隆」からのご挨拶

公益財団法人 兵庫県予防医学協会 会長 深谷 隆

公益財団法人兵庫県予防医学協会は、昭和46年の創立以来、
皆様の健康を予防医学の実践によって支援することを社会的役割とし、
皆様の健やかな毎日をお支えできることを願って、日々業務を行っています。
業務の主な内容は、地域住民や働く人たちの健診や人間ドックなどの事業ですが、
健康に関連する情報発信や環境保健事業なども幅広く行っています。

予防医学は一次予防から三次予防まで3段階に分けられます。
一次予防は、病気になる前に病気にならないように予防することです。
二次予防は、病気になったら早期発見・早期治療を行うことです。
三次予防は、治療後に再発を防ぎ早期に社会復帰を果たすことを目的としています。
当協会は主に一次予防と二次予防を担っています。

一次予防の代表は、メタボリックシンドローム関連の特定健診があります。
腹囲を基準として、血圧、糖尿病、脂質異常症に関連する検査結果から生活習慣病リスクを拾い上げ、
結果に基づいて、生活改善が必要な場合には特定保健指導を受けていただき、
重篤な疾病の発症を予防します。
これが一次予防ですが、健診結果から受診が必要と判断される場合には、
医療機関を受診し医療を受けていただくこととしています。

二次予防の代表ではがん検診があげられます。がんは、
がん細胞1個の発生から直径1cmのがんになるまでにおおむね10~20年かかり、
その後直径2cmになるのに1~2年かかります。この早期がんの間に治療をすれば、
5種類のがん(胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がん)
全体の5年生存率は90%以上を期待することができますが、
既に転移している(第Ⅳ期)と11%程度となってしまいます。
このように、早期に病気を発見して早期に治療することを二次予防と言います。
生活習慣病の合併症発症前や早期がんでは、多くの場合に自覚症状はありません。
また、発症した時には既に進行し、
重い症状を突然生じることがしばしば見られます。したがって、症状のない時期から健診を受けて、
早期発見することで重篤な合併症やがんの進展を予防することは大変大切になります。

健診では各種の検査を行いますが、検査には偽陰性と偽陽性を避けることができません。
偽陰性は異常があるのに検出できない場合であり、偽陽性は異常がないのに検査結果が陽性になる場合で、
いずれも誤った健診結果となります。正しい結果を得るためには、結果が陰性の場合には、
定められた間隔で繰り返し健診を受けることによって、偽陰性のリスクを減らすことができます。
健診で結果が陽性になり、要受診と判定された場合には、医療機関を受診して詳しい検査を受けて、
きちんと診断してもらう必要があります。

健診は受けることが目的ではなく、結果を生かして生活習慣を改善し、健康寿命を延ばすことが目的です。
診断結果によっては、生活習慣を改善して再検査を受けていただくように指示されることがあります。
生活習慣病やがんの予防では、禁煙、節酒、食生活改善、運動と適正体重維持という生活習慣改善が大切です。
また、がん予防では生活習慣の改善に加えて感染症対策(胃がん:ピロリ菌、肝炎:ウイルス性、子宮頸がん:HPV)が有効であることが明らかにされています。

以上をまとめますと、健康寿命をなるべく長く延長するために、
生活習慣を改善して病気になることを予防し(一次予防)、
病気になったら早期に発見し、医療機関を受診して早期治療をめざす(二次予防)ことが大切です。
そのためには健診を毎回受けて健康状態をきちんと把握することが重要です。
是非、健診を受診してください。

公益財団法人 兵庫県予防医学協会 会長 深谷 隆

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