当協会は、昭和46年の創立以来、皆様の健康を予防医学の実践によって支援することを社会的役割とし、皆様の健やかな毎日をお支えできることを願って、日々業務を行っています。業務の主な内容は、地域住民や働く人たちの健診、人間ドックなどの事業ですが、健康に関連する情報発信や環境保健事業なども幅広く行っています。
予防医学は一次予防から三次予防まで3段階に分けられます。
一次予防は、病気になる前に病気にならないように予防することです。二次予防は、病気になったら早期発見・早期治療を行うことです。三次予防は、治療後に再発を防ぎ早期に社会復帰を果たすことを目的としています。当協会では主に一次予防と二次予防を担っています。
一次予防としては、禁煙、節酒、食生活の見直し、身体を動かす、適正体重の維持などの生活習慣改善によるがんや生活習慣病の予防があげられます。また、感染症に関連するがんの予防には感染症の検査や治療(ピロリ菌や肝炎ウイルス)、ワクチンによる予防(子宮頸がんやB型肝炎)も大切です。
メタボリックシンドロームにつきましては、特定健診等で検査を受け、ご自身の体の状態を知り、結果に基づいて、生活改善が必要な場合には特定保健指導を受けていただき、重篤な疾病の発症を予防します。健診結果から医療が必要と判断される場合には、医療機関を受診し医療を受けていただくこととしています。
二次予防の代表としてはがん検診があげられます。がんは、がん細胞1個の発生から直径1cmのがんになるまでにおおむね10~20年かかり、その後直径2cmになるのに1~2年かかります。この早期がんの間に治療をすれば、5種類のがん(胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がん)全体の5年生存率は90%以上を期待することができますが、既に転移している(第Ⅳ期)と11%程度となってしまいます。このように、早期に病気を発見して早期に治療することを二次予防と言います。
生活習慣病発症前や早期がんでは、多くの場合に自覚症状はありません。“症状が明らかになったら医療機関を受診するから健診を受けない”という考え方は健康に関しては非常にリスクの高いものと思います。特に生活習慣病では、症状が出るころには既に進行し、心筋梗塞や脳卒中などの重い症状で突然発症することがしばしばみられます。症状のない時期から健診を受けて、早期発見することで重篤な合併症やがんの進展を予防することはより健康な生活を続ける上で大変大切です。
健診では各種の検査を行いますが、検査では偽陰性と偽陽性を避けることができません。偽陰性は異常があるのに検出できない場合であり、偽陽性は異常がないのに検査結果が陽性になる場合で、いずれも誤った健診結果となります。正しい結果を得るためには、結果が陰性の場合には、定められた間隔で繰り返し健診を受けることによって、偽陰性のリスクを減らすことができます。健診で結果が陽性になり、要受診と判定された場合には、医療機関を受診して詳しい検査を受けて、疾患の有無をきちんと診断してもらう必要があります。
診断結果によっては、生活習慣を改善して再検査を受けていただくように指示されることがあります。
以上をまとめますと、健康寿命をなるべく長く延長するために、生活習慣を改善して病気になることを予防し(一次予防)、病気になったら早期に発見し、医療機関を受診して早期治療をめざす(二次予防)ことが大切です。また健診は受けることが目的ではなく、結果を生かして生活習慣を改善し、健康寿命を延ばすことが目的です。
そのためには健診を毎回受けて健康状態を把握して、健康に向けてのPDCAサイクルを回すことが重要です。
是非、健診をきちんと受診してください。