「がんをよく知るための講座」を開催いたしました
2月4日(火)14時から兵庫県予防医学協会健診センターで、「がんをよく知るための講座」を開催いたしました。
今回は、「口の中のがん」と題し、神戸大学大学院医学研究科 外科系講座 口腔外科学分野 教授 明石 昌也先生にご講演いただきました。
口の中のがん(口腔がん)の罹患率は、日本で診断された全てのがんの1~2%と推測されている。男女比は3:2。
がんは舌や顎、頬粘膜など口の中のさまざまな部位にできるが、舌がんが最も多い。
リスクファクターは、喫煙、飲酒、う歯(虫歯)や合わない歯科補綴物(入れ歯や歯のかぶせもの、詰め物など)による刺激など。
発症リスクは、喫煙で5~25倍、飲酒で2~6倍、喫煙+飲酒では15~40倍といわれている。喫煙と過剰飲酒は今すぐやめたほうがよい。
口腔がんは、ほとんどが粘膜の上皮から発生する扁平上皮がんで、早期がんでは5年生存率が90%であるが、進行がんでは治癒しても重い機能障害が残ることが多い。
視診のみでは診断が難しいため、病変の一部を採取し顕微鏡で詳しく観察する細胞診・組織診を行い、診断を確定する。その後、CT、MRI、PET、超音波などの各検査で病変の大きさや首のリンパ節への転移などを調べる。
治療は、手術、放射線治療、薬物療法(抗がん剤)、痛みや苦痛に対する症状の緩和を目的とした緩和ケア/支持療法があり、ほとんどの口腔がんは手術治療が中心となる。切除する部位によっては、再建(組織移植)術が必要となり、食事や会話がスムーズにできなくなることもある。早期発見、早期治療が望ましい。
早期発見のためには、気になる症状があれば、まずその症状はいつから続いているか、同じ症状を繰り返しているかどうかを、思い出してほしい。悪性腫瘍(がん)は痛みに乏しい場合もある。痛みは感じなくても、
・口の中の傷が治らない(2~3週間がひとますの目安)
・口内炎がどんどん大きくなる
・舌の動きが悪い、、、動かしにくい
・舌が腫れてきた、硬くなってきた
・口の中の感覚がない
などの症状があれば、一度は受診すること。普段から、定期的に歯科で口腔内を診てもらい、義歯は調整をしてもらうとよい。
口腔がんの治療には、患者さんと歯科口腔外科だけでなく、耳鼻咽喉頭頸部外科、形成外科、放射線腫瘍科、腫瘍内科、リハビリ・言語聴覚士、緩和ケア、管理栄養士など様々な職種の医療スタッフが携わるチーム医療が重要とお話をまとめられました。
講演後は、会場からの質問に丁寧にお答えをいただきました。