第508回土曜健康科学セミナーレポート
7月9日(土)13時半から第508回となる土曜健康科学セミナーを開催いたしました。
今回は「最近の認知症診療、現況と今後の見通し」と題して、神戸大学保健管理センター准教授の山本泰司先生にご講演いただきました。
※山本先生のプロフィールはこちら(神戸大学研究者紹介システム)
老年期の三大認知症は、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症で、これらは単体で起こることもあるが、混合で起こるもあるとのことです。
2015年の神戸大学附属病院認知症疾患医療センターでの鑑別診断において、多くの認知症のタイプが診断されています。その中でもこの三大認知症及び混合型が占める割合は、全体の48%も占めており、内訳は以下の通り判明しています。
・アルツハイマー型認知症35%
・脳血管性認知症5%
・レビー小体型認知症5%
・混合型認知症3%
最近は、外来を早めに受診される方が増えており、軽度認知障害(MCI)21%、正常範囲健忘16%という、すぐに治療の必要のない方も多くみられました。
軽度認知障害(MCI)のうちに受診していただければ、生活習慣などの改善で認知症の発症リスクを抑えることがわかっており、気になる物忘れなどがあれば、専門医への紹介のシステムがあるので、まずはかかりつけの医院に相談することが大事です。
軽度認知障害(MCI)からアルツハイマー型認知症へ移行するリスクについては、健康な方と比較し、生活習慣病や生活習慣に起因する要因をお持ちの方は、高血圧1.84倍、糖尿病1.62倍、高脂血症1.11倍、喫煙1.09倍、多量飲酒1.10倍とリスクが高まることも判明しております。
「しかし、これらの疾病の治療、生活習慣の見直し、禁煙等により発症リスクは9~15%も減らすことができ、生活習慣病の治療と生活習慣の改善が認知症予防の第一歩であることを認識していただきたい」 と、山本先生はお話しされています。
次回は、7月23日(土)13時半から開催いたします。テーマは、「脳動脈瘤について」、講師は神戸大学大学院医学研究科脳神経外科学分野准教授 細田 弘吉氏です。