第509回土曜健康科学セミナーレポート
7月23日(土)13時半から健康ライフプラザ5階で、第509回土曜健康科学セミナーを開催いたしました。
今回は、神戸大学大学院 医学研究科 脳神経外科学分野 准教授 細田弘吉先生に「脳動脈瘤について」と題しご講演いただきました。
※細田先生のプロフィール(神戸大学医学部附属病院ホームページ)
脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血の年間発生頻度は、人口10万人当たり約6~16人で、脳梗塞や脳出血に比べると発生頻度はかなり低めです。40~50歳台に最も多く発生しますが、最近は高齢者にも多くなっています。
なぜ動脈瘤ができるのかはよくわかっていませんが、高血圧や動脈硬化が関連しています。
くも膜下出血の症状は今までに経験したことのないような強い痛みや、嘔気・嘔吐などと言われていますが、発症時の頭痛の特徴は、突然であること。頭痛は軽度またはほとんどないこともありますが、だらだら痛いのでなく、突然の頭痛と覚えておいてください。
くも膜下出血を発症すると、約40%は死亡、重大な後遺症が残る方が約30%、社会復帰できる方が約30%です。いったん破裂して出血した脳動脈瘤は再び出血しやすく、2度目の出血によって死亡や重い後遺症が残る可能性が高くなります。そこで、早急に再出血を予防する治療が必要となります。
治療には、開頭手術(クリッピング)や血管内治療(コイル塞栓術)などがあります。術後3週間は、合併症(脳血管攣縮・水頭症)予防のための術後管理が重要です。
脳ドックなどで脳動脈瘤が見つかることがありますが、形状や位置、年齢や既往歴などを考慮し治療の方針が決まります。すぐに手術というわけではなく、定期的に検査をしながら様子を見る場合もありますので、思い悩まずに専門医とよく相談することが大切なようでした。
次回は、8月6日(土)13時半から開催いたします。テーマは、「人生の最期まで元気でいるために~介護寿命とサルコペニア・フレイルティ」、講師は武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科教授 雨海 照祥氏です。