第511回土曜健康科学セミナーレポート
8月27日(土)13時半から健康ライフプラザ5階で、第511回土曜健康科学セミナーを開催いたしました。
今回は、神戸市立医療センター中央市民病院 腎臓内科部長 吉本明弘先生に「慢性腎臓病と高尿酸血症」と題しご講演いただきました。
※吉本先生のプロフィールはこちら(神戸市立医療センター中央市民病院ホームページより)
「慢性腎臓病と高尿酸血症」、この二つの疾患がどうしてつながるのか、それは痛風や高尿酸血症が腎不全を引き起こしやがて透析に至る病気だからです。
慢性腎臓病(Chronic kidney disease:CKD)は、
①3か月以上続く蛋白尿など、腎臓病を疑う異常所見
②3か月以上、糸球体ろ過量(GFR:腎臓の働きを表す単位)が60ml/分(正常100ml/分)未満のいずれかを満たす病態
のことをいいます。
現在CKDの患者数は、軽症の方も含めると成人の8人に1人と推測されており、そのうち進行して腎不全に至る危険性のある患者数は成人の20人に1人といわれ、新たな国民病として注目をされています。
慢性腎臓病は初期にはほとんど自覚症状がありません。健康診断などで、定期的に尿や血液の検査をすることが大事です。
尿酸は、新陳代謝によって生じる老廃物です。プリン体を原料にして体内で作られます。主に腎臓から排泄されますが、腎臓の機能が低下すると排泄量が低下し、産生と排泄のバランスが崩れ高尿酸血症が起こります。尿酸値が高い状態が続くと、関節内に尿酸塩結晶が沈着し痛風発作を起こします。
腎臓の機能を低下させないためには血管を守ること。そのためには、運動や食事などの生活習慣が重要なポイントになります。神戸市立医療センター中央市民病院では、腎臓病教室を開催しています。このような機会を利用して、生活習慣の見直しにも役立ててくださいとお話されました。
次回は、9月3日(土)13時半から開催いたします。テーマは、「歯周病について-全身疾患との関係」、講師は神戸大学大学院医学研究科 口腔外科分野教授 古森 孝英氏です。