第519回土曜健康科学セミナーレポート
12月10日(土)13時半から健康ライフプラザ5階で、第519回土曜健康科学セミナーを開催いたしました。
今回のテーマは、『「痛み」について知りましょう!』、講師は神戸大学大学院医学研究科外科学講座麻酔科学分野(http://www.med.kobe-u.ac.jp/anes/) 准教授 高雄 裕美子先生です。
痛みの種類は、急性疼痛と慢性疼痛に分けられます。急性疼痛は、生体に生じた異常を知らせる警告信号です、慢性疼痛は、痛みの原因となる外傷や疾患が治癒した後にも長期間持続する有害な痛みです。痛みは、何か悪いところがあるという重要なサインで大事なものですが、同時にとてもつらいものです。
痛みの種類の分け方にはもう一つあり、侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛、心因性疼痛に分けられます。侵害受容性疼痛は、通常の痛み止めがよく効く痛みです。神経障害性疼痛は、神経系の一時的な損傷やその機能異常が原因となる、もしくはそれによってひき起こされる疼痛で、原因も多彩です。代表的なものに帯状疱疹後神経痛などがあります。神経障害性疼痛は、通常の痛み止めが効きにくく難治性です。
神経障害性疼痛の治療には、薬物療法、神経ブロック、レーザー、電気刺激療法、リハビリテーション、認知行動療法などの中から、適切な方法を選択します。
最近の研究で、痛みの慢性化は情動系へのシフトが大きく関与していることがわかってきました。痛みを放っておくと、破局的思考(痛みに対するネガティブな感情)から、不眠、不安、抑うつなどが生じ、痛みの悪循環が形成されるともいわれています。
痛みはペインクリニックで診てもらえます。痛みに困っておられる方は、かかりつけ医に相談されてはいかがでしょうか。
次回は、平成29年1月14日(土)13時半から開催いたします。テーマは、「食道・胃・大腸がんの外科手術」です。講師は神戸大学大学院医学研究科外科学講座食道胃腸外科学分野 教授 掛地 吉弘氏です。