第535回土曜健康科学セミナーレポート
8月26日(土)13時半から健康ライフプラザ5階で、第535回土曜健康科学セミナーを開催いたしました。
今回のテーマは、「気になるもの忘れ-認知症と認知症対策について」です。
講師は、六甲アイランド甲南病院 認知症疾患対策センター センター長 小倉純先生です。
最近の認知症の原因疾患をみると、アルツハイマー病が半数を占めることに変わりはないが、脳血管性認知症よりもレビー小体型認知症が多くなってきている。
アルツハイマー病の主症状は、①新しい物事が憶えられない、②時間、場所、人の見当がつかない、③物事の判断や実行ができない、④道に迷う、⑤行動異常・精神症状、⑥失語(言葉が出ない、理解できない)、⑦運動障害などがあげられる。レビー小体型認知症の症状は、①症状に波がある認知症、②パーキンソン症状、③幻視や誤認妄想、④うつ症状など精神症状、⑤自律神経症状、⑥レム睡眠行動障害など。
2017年7月20日LANCET誌に、認知症例の約35%が、潜在的に修正可能な9つの危険因子に起因しているという論文が掲載された。危険因子は、若年期の教育、中年期の聴力、高血圧、肥満、老年期の喫煙、うつ、運動、孤立、糖尿病。
また、2014年東フィンランド大の研究によると、認知症予防のポイントは、①睡眠(質の良い睡眠を)、②食事(緑黄色野菜、魚介類)、③教育(脳のトレーニング)、④社会性(気軽に話せる友人を)、⑤運動(2日に1回30分以上散歩)の5つ。
これらを参考にして、生活改善を心がけるとよいでしょう。
認知機能の低下をきたす原因は、認知症以外にもある。例えば、採血で診断ができる甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症、画像で診断が可能な慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、その他に薬物の影響や抑うつ状態など。これらが原因のものは、適切な治療をすれば、認知機能は回復する。気になる症状があれば、早めに受診を。
多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。
次回は、9月2日(土)13時半から開催いたします。テーマは、「下肢の血管病変を知る-閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤」、講師は神戸労災病院 副院長・心臓血管外科部長 脇田 昇氏です。