第546回土曜健康科学セミナーレポート
第546回土曜健康科学セミナーを、2月10日(土)13時半から健康ライフプラザ5階で、開催いたしました。
今回は、「心筋梗塞・狭心症を防ぐ、治す」と題し、神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科部長 古川 裕先生にご講演いただきました。
心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患の発症・進行に影響を与える因子は、加齢や性別の他に高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙、ストレスなどがある。加齢や性別はどうすることもできないが、その他の因子は各人で改善ができる因子である。
狭心症の症状は、締め付けるようなあるいは圧迫されるような痛みが多い。また、痛みを生じる部位が「ここ」と指で示すことができないことが多い。持続時間は分単位(数秒では終わらない)。高齢者や糖尿病に長期罹患している患者さんなどは自覚症状が軽いことも多い。
心筋梗塞の症状は、狭心症と同様だが、より強い症状であることが多く、長時間(30分以上)続く。心臓に血液を供給する冠動脈が血栓でつまり、血流が途絶えた部分が壊死するので、早期の再灌流が重要。発症後、病院に搬入されれば、急性期病院内の死亡率は10%以下と低いが、約1/3の症例は搬入前に死亡している。
急性冠症候群による病院到着前の死亡を減らすためには、AEDなどの普及と心肺蘇生法の普及が大事。
心臓は毎日休むことなく1日約10万回も収縮と弛緩を繰り返しており、大きな心筋梗塞を生じて心臓が十分に働くことができなくなるということは、生命の危機を意味する。その原因である冠動脈の動脈硬化の進行には、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙などの生活習慣・生活習慣病の関与が大きく、自身で管理できる部分もある。生活習慣病は「かかりつけ医」と一緒にうまく管理していき、万一、詳しい検査や専門的な治療が必要な心臓病を生じたら、早めに専門医療機関に紹介してもらうようにしてください。
雨の中、多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。
次回は、2月24日(土)13時半から開催いたします。テーマは、「悪性リンパ腫とはどんな病気でしょうか」、講師は神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科学分野准教授 松岡 広氏です。