第548回土曜健康科学セミナーレポート
第548回土曜健康科学セミナーを、3月10日(土)13時半から健康ライフプラザ5階で、開催いたしました。
今回は、「日常よく見られる手の疾患-腱鞘炎と手根管症候群」と題し、三菱神戸病院 整形外科 山﨑 京子先生にご講演いただきました。
腱鞘炎などが気になる方が多いのでしょうか、会場はほぼ満席です。
腱鞘炎の代表的なものは、ばね指(弾発指)とドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)です。
ばね指とは、屈筋腱と靭帯性腱鞘の間で炎症が起こり、指の付け根に痛み、腫れ、熱感が生じ、それらが進行してばね現象が生じた状態です。更年期の女性に起こりやすく、妊娠時、産後に生じることもあります。糖尿病や透析患者にも発生し、おや指、中指、くすり指に多く見られます。治療は、保存療法(局所を安静にして刺激を与えないようにする、腱鞘内に注射をして症状をおさえる)と保存療法で治らない時や指が曲がったまま伸びない時に行う手術療法があります。
ドケルバン病は、手首のおや指側に腫れと痛みが生じます。妊娠時、産後や更年期の女性に起こることが多く、スポーツマンや指をよく使う仕事の人にも見られます。おや指を内側に入れて握りこぶしを作り、手首を小指側に曲げると痛みが生じます。治療は、ばね指と同じです。
手根管症候群は、ひとさし指、中指を中心にしびれ、痛みが出ます。しびれはくすり指、おや指に及ぶこともあります。痛みは明け方に強くなり、手を振ることで楽になります。おや指の付け根がやせてきて、縫い物やボタンかけなどの細かい作業が困難になり、おや指とひとさし指でわっかを作るOKサインができににくくなります。原因は不明ですが、圧倒的に女性に多く生じます。手を使う重労働者、妊娠や骨折、閉経、透析も原因となります。手首をたたくとしびれ、痛みが指先にひびきます。治療は、手の使い過ぎを避け、安静にしてみる。それでも治らない時には、飲み薬、注射、手術などがあります。
気になる症状があれば、手の専門医にご相談ください。
会場からの質問にも丁寧にお答えいただきました。
次回は、3月24日(土)13時半から開催いたします。テーマは、「高齢者のうつ病」、講師は神戸市立医療センター中央市民病院 精神・神経科部長代行 松石 邦隆氏です。