第558回土曜健康科学セミナーレポート | 兵庫県予防医学協会のブログ

第558回土曜健康科学セミナーレポート

第558回土曜健康科学セミナーを、12月8日(土)13時半から健康ライフプラザ5階で、開催いたしました。
今回は、「究極の脳卒中予防法」と題し、兵庫医科大学脳神経外科主任教授 吉村 紳一先生にご講演いただきました。

脳卒中とは、脳の血管が切れて出血したり(脳出血)、つまったり(脳梗塞)する病気です。脳出血には、脳の中の細い血管が切れて出血する〝脳出血″と脳の血管のコブ(脳動脈瘤)が破裂して出血する〝くも膜下出血″があります。
脳梗塞は、脳内の細い血管がつまるもの、脳や頸部の太い血管に血栓ができるもの、心臓から血栓が飛んでくるものに分けられます。
症状は、顔面の弛緩(顔面の動きが左右非対称)、腕の動揺(一方の腕があがらないか、維持できない)、言語の異常(不明瞭な発語や単語を間違える、あるいは全くしゃべれない)などで、これらの3つの兆候のうち1つでも異常があれば、脳卒中の可能性は72%といわれています。
片側の顔面と手足が動かない、しびれる、片目が見えない、物が二重に見える、言葉が出ない、人の話が理解できない、ろれつが回らないなど脳梗塞に似た症状が短時間(10分以内)出たけれどもすぐに治ったというような場合、一過性脳虚血発作(TIA)といい、TIAを起こすと3か月以内(その半数が48時間以内)に10~15%が脳梗塞を発症するので、症状がすぐに消えたからと安心しないでください。
動脈瘤、血管の狭窄、心臓の異常などはそれも症状がないことの方が多いので、己を知るためには脳ドック等の検査を受けることをおすすめします。
高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、心房細動、大量の飲酒など脳卒中の危険因子を避けることも重要で、食事に気をつけ、適度な運動、肥満の方は体重を減らす、禁煙、大量飲酒をしないなど、まずは自然な治療法から取り組むこと。そして、必要な場合は嫌がらずに服薬を行うこと。
脳ドックなどで血管の異常を見つけたら、発症する前に処置ができます。
もし、脳卒中になってしまったら、少しでも早く救急車で病院に行ってください。脳の血管の再開通までの時間が早ければ早いほど予後がよくなります。
脳卒中は生活習慣病です。たばこはやめて、食事に気をつけて、適度な運動(有酸素運動:1日30分以上)をしましょう。そして、少し体重を減らしましょう。それでもだめなら、薬を飲みましょう。
最後に、脳卒中で重度の後遺症をきたすと、自分だけでなく家族も巻き込んでしまいます。最近では、脳卒中が認知症の大きな原因であることも示されています。生活習慣病である脳卒中は日々のちょっとした努力で防げる病気です。積極的に予防に取り組みましょう。とお話をされました。
多くの方々が気になるテーマで、たくさんの方にご参加いただきました。
また、吉村先生には会場からの質問にも、丁寧にお答えをいただきました。

今回の吉村先生の内容は、先生が今年出版された『脳卒中をやっつけろ!』(三輪書店)をご覧いただくと、よりわかりやすいと思います。
次回は、1月12日(土)13時半から開催いたします。テーマは、「ヘリコバクター・ピロリ 感染と胃がん-胃がんにならないために-」、講師は神戸大学大学院医学研究科消化器内科分野特命教授 梅垣 英次氏です。

 

 

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