第566回土曜健康科学セミナーレポート
第566回土曜健康科学セミナーを、8月17日(土)13時半から健康ライフプラザ5階で、開催いたしました。
今回は、「ストレスと心血管病-心臓病・脳卒中から身を守る術-」と題し、神戸労災病院 副院長・循環器内科部長 井上 信孝先生にご講演いただきました。
精神的ストレスは心臓病を引き起こす危険因子と考えられ、抑うつの存在は急性心筋梗塞のリスクを1.5~3.0倍上昇させる。災害の後は心臓病の発症が激増、阪神大震災後に急性心筋梗塞の発症が増加、東日本大震災後は心不全症例が増加した。
神戸労災病院で調査をしたところ、心臓病症例では約40%で抑うつを認め、その割合は肺がん症例と同等であった。
生活習慣病のうつ病(状態)併発率は、心筋梗塞42~45%、脳卒中27%、高血圧19~33%、冠動脈疾患16~23%、糖尿病8.5~27.3%。
精神的ストレスによる心血管病が増大するはっきりとした理由はまだ解明されていないが、
①交感神経の活動が高まり、心臓の負担が増大し、血圧が上昇、血液がドロドロに
②副腎皮質系の活動が高まり糖尿病が悪化
③生活習慣が乱れ、飲酒量の増加や喫煙、運動不足が起こる
④薬の服薬がルーズになる
などの影響が考えられている。
心筋梗塞、脳卒中、高血圧、冠動脈疾患はすべて血管に関する病気である。血管病にならないためには、血管をしなやかに保つこと。つまり、血管を痛める因子をのぞくことが大事。そのためには、生活習慣病の克服(食事、運動など生活習慣の見直し)が大事。
世界の長寿者に共通していること。
・生活そのものが身体を動かす運動
・ストレスのない環境にいる
・自然の恵みに囲まれて、理に叶った食事をしている。
・家族に囲まれて生活をしている。
健康長寿を目指すためには、これらの中からひとつでもできることから始めてみてください。
先生は、120歳の大還暦まで生きるコツを書いた本を出版されていて、神戸労災病院の売店やアマゾンで購入できるそうです。
次回は、9月28日(土)13時半から開催いたします。テーマは、「肺にも生活習慣病があるのをご存知ですか?-COPDと併存症-」、講師は神戸大学医学部附属病院 呼吸器内科 准教授 小林 和幸氏です。